~川柳~  《花生米 大家共吃  怕什麼》⇒《ピーナッツ みんなで食べれば 怖くない》

  【知道中国 517回】       一一・一・念五

      ――へー、やはり、そうきましたか

      『領導要論』(談宜彦等 紅旗出版社 2009年)

 書名を日本風に訳せといわれたら、些か持ちあげすぎだが『幹部の品格』とでもしておこうか。この本は共産党指導幹部が身につけておくべき素養、能力などについて論じた「専門書」と銘打っている。実際に起こった事例を挙げながら、具体的に如何に対処すべきかを考えさせようというもの。指導幹部の能力を引き出し、素質を高めさせ、人民の公僕としての振る舞いのなんたるかを熱っぽく説く。

 「指導方法、指導芸術に説き及ぶ本書から有益なヒントを得られる。典型的な指導幹部が人格的魅力を涵養し、思考方法を改善するうえで大いに役立つ。教条的な解説ではなく、心に響く語り口によって、読者はリラックスし、軽音楽が流れる木陰の小道を歩くような感じで指導幹部への道を体に染み込ませ、学習することだろう」というのが、この本の宣伝惹句だが、ヨク言ウヨ、デアル。そこで、騙されたと思って「軽音楽が流れる木陰の小道を歩くよう」に、心をウキウキとさせながら内容の一部を検討してみた。

 全体の構成は「一、理論と素養を論ず」「二、世界の目を論ず」「三、戦力思考を論ず」「四、党員としての修養を論ず」「五、実能力を論ず」「六、調査研究能力を論ず」「七、政策決定能力を論ず」「八、執行能力を論ず」「九、協調性を論ず」「十、複雑局面への対応を論ず」「十一、創造能力を論ず」「十二、表現能力を論ず」「十三、心理的素質を論ず」「十四、清廉自律を論ず」「十五、建設隊伍を論ず」となっている。
 紙幅の都合から、気になった2,3の点を紹介してみたい。

 先ず「一、理論と素養を論ず」だが、「千年の偉人のマルクス、一代の領袖の毛沢東、中国の特色ある社会主義体系、伝統文化の宝庫からエッセンスを学びとり、国を治め政治を理する智慧の泉を求めよう」と構える。読書の重要性を説き、毛沢東の読書方法――「本を参考に調査し」「読書の習慣を養成し」「目のつく場所には本を置き」「命の続く限りの読書」――を学べと。中国の古典はいうにおよばず、『ホメロス』や『戦争と平和』など世界の古典もまた「思想の宝庫」であり、幹部としての情操を陶冶するうえでは必読だ、とも。

 「四、党員としての修養を論ず」では、「儒学者が認める人生の道としては最も理に叶った」「修身斉家治国平天下」という哲学は、「不断に拡大する同心円に似ている。先ず己自身を厳格に律し、絶えまなく自己を改造した、家族や友人を含む身近な人に影響を及ぼし、後に単位(しょくば)、生活区域、国家全体、果ては人類、世界に影響を与える」と解説し、「党内の指導者の中には、古訓である『修身斉家治国平天下』を拳々服膺し実践履行しているだけではなく、厳正な家訓とし、党全体の魁となっている者もいる」と讃えている。

 陳雲は「読書を好み、立派な人となった」。李先念は「子供が商売に携わりカネ儲けに勤しむことを許さなかった」。董必武は「家族には厳格な父として接したが人情味を失わなかった」。万里は「党に対しては忠誠で臨み、自立自強に精励した」と、老革命幹部の生き様を引いて、自らを厳格に律することの大切さを諄々と教え諭す。
 李先念の家庭事情は知らないが、現在「子供が商売に携わりカネ儲けに勤しむことを許さな」いヤワな指導幹部が、1人でもいるのか。いたら、是非とも、お目にかかりたい。  
どうせウソッパチ。出来もしない絵空事の羅列・・・全党一丸・徹頭徹尾・支離滅裂。《QED》