ポラは持っていません  ハッセルブラッド2000FC/M他

 polaroid Type100
 「ポラロイドは持って来ていません」というのは、小生が良く使った言葉である。子供の頃、ポラロイドの
テレビCMを見て「現像がいらないんだ」と感心していたが、大人の話によれば、一枚当たりの価格が高く
、フィルムがない分焼き増しも出来ない(メーカーに出せばできるようだが、原理的には感光剤を使ったコ
ピーのようなものであろう)ことで、あまり普及しなかった印象がある。ところが、プロの世界にはいいたら、
ポラが必需品であったことに驚いた。 フィルムバック交換が可能なカメラにポラロイドフィルムを格納した
バックがあり、本番撮影前にチェックすることに使われていた。 35mmカメラも強引ながら、改造したポ
ラが存在し、小生もニコン・ハッセル・4×5用を持っていたが、不安なときはついつい使ってしまったもの
だ。今なら、デジカメの液晶で確認する作業にあたる。 しかし、このポラは小生にとって便利そうで面倒な
ものでもあった。 撮影前に見ることが出来ると、つい見たくなるのが心情である。 そこで、クライアントが
見ると、いろいろ注文が入り時間が掛かり始めることになる。 実際、ポラと本番のフィルムでは、違うのだ
が、そこが分からないからポラで判断し、いろいろと言ってくる訳だ。「これは、ポラだから」と納得してもらう
時間が発生する。フジから「フォトラマ」という高い画質の製品が出たが、それでもフィルムとは一緒になら
ない。これが、ロケの場合、日が雲に隠れるなど、ポラを確認してもらっている間にでも、刻々と、変化して
行くことにあり、ともすれば、そんなことで好条件を逃すことになる。
 そのような理由から、途中からポラロイドを持たなくなった。ロケに行くにあたり、はじめから持っていかな
いのである。 持って行かなければ、現地で「見たい」と言われても「無いです」と答えれば、諦めるしかな
い。それから、撮影のスムーズなこと。「これだ!」と思った瞬間にシャッターが切れる。はじめは、クライア
ント(特に広告代理店)は不服そうであったが、次第に馴れて、何も言わなくなった。 仕上がりがよければ
良いわけである。ポラを引くことでシャッターチャンスを逃す。または、つい注文をいれてかえって面白くな
い結果になることを理解していただいたようである。 しかし、デジタル時代になったら、簡単に確認できる
ようになり、やはり「見せて」となってしまうようだ。もっとも本心、小生も見たいと思うときもあるのだが。
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